覚醒ラットの大脳皮質で局所細胞外電位(LFP)とニューロンの発火活動は閾値下の相関を示す

論文紹介#3
今回は軽めに。
24 Mar 2010発行のThe Journal of Neuroscienceより一報紹介します。
Michael Okun, Amir Naim, and Ilan Lampl
The Subthreshold Relation between Cortical Local Field Potential and Neuronal Firing Unveiled by Intracellular Recordings in Awake Rats
J. Neurosci. 2010 30: 4440-4448; doi:10.1523/JNEUROSCI.5062-09.2010

細胞膜電位とスパイク(発火)、局所細胞外電位(LFP)を同時に記録することでそれらの関係性をしっかり調べたという研究です。視覚刺激に対して大脳皮質の細胞がどの程度応答しているのかを計る指標としてよく視覚誘発電位(Visual Evoked Potential, VEP)を使います。これもLFPの一種ですね(Mitzdorf, 1985)。この実験では無麻酔の(覚醒)ラットで細胞内と細胞外の電位変化を同時に記録しているんですよ。最近覚醒動物をつかったin vivo記録実験が結構出てきたので、実際はどんなもんなのか興味ありますね〜。麻酔のかかっていない、より生理的な条件で何が起きているのかという興味ですね。あまり論文セミナー向きじゃないと思いますが、LFPを実験で使っているひとは要チェックな論文です。


参考文献
1.Current source-density method and application in cat cerebral cortex: investigation of evoked potentials and EEG phenomena. Mitzdorf U. Physiol Rev. 1985 Jan;65(1):37-100.


論文紹介#2 平面上の微小なNGF濃度勾配は、方向転換(turning)よりも相対的な成長度(growth-rate)の調節によって軸索を誘導する。
論文紹介#1 局所的なEph密度の上昇がシグナリングを引き起こす。ほか