局所的なEph密度の上昇がシグナリングを引き起こす。ほか

論文紹介#1
ざっと読んでみておもしろかった論文を三報紹介します。
論文セミナーなどで紹介してみてはいかがでしょう。
「○」は筆者の主張や結果などを示します。間違ってたら連絡ください。
「●」は僕の意見を示します。ご意見お待ちしてます。


Science 327, 1380 (2010);
Khalid Salaita, et al.
Restriction of Receptor Movement Alters Cellular Response: Physical Force Sensing by EphA2

○局所的なEph密度の上昇がシグナリングを引き起こす。
○基質上のリガンドが自由に動ける状態だと細胞のEphが集まるため密度が上昇し、下流にシグナルを伝える。
○リガンドの移動を物理的に制限すると、Ephの集積量が少ないのでシグナルは伝わらない。
●リガンド及び受容体が拡散した状態が見た目でわかりやすい。
○蛍光染色して人工脂質二重膜に埋め込んだEphri-A1を観察した。
●たぶんこれがポイント。これによって細胞内でEphの分布をリアルタイム観察することが出来た。
●成長円錐で見るためにはEphまたはそのアダプター蛋白質を蛍光タグすることが考えられる。<難しそう。


The Journal of Neuroscience, March 3, 2010 30(9):3157-3166
Ubiquitination Acutely Regulates Presynaptic Neurotransmitter Release in Mammalian Neurons
Gina V. Rinetti and Felix E. Schweizer

○ユビキチン化を介した蛋白質分解はプレシナプスの放出頻度を負に制御する。
たんぱく質合成や分解が軸索ガイダンスに関与している話は前にあった。成長円錐から残ってて使い回してるのかな。
●ポストからのシグナルによって蛋白質のユビキチン化を制御する可能性は?
●生理的な条件でどうコントロールされているのかな?


Monaural Deprivation Disrupts Development of Binaural Selectivity in Auditory Midbrain and Cortex
Maria V. Popescu and Daniel B. Polley
Neuron 65, 718?731, March 11, 2010

○聴覚でMD(Monaural Deprivation、ちなみに視覚でMDといえばMonocular Deprivation)して、閉じた耳と残した耳からの入力による反応性の変化と、感受性期の存在について調べた。
●可逆的な聴覚MDという手法がポイントだと思う。耳の穴を糸で縛ったのだそうな。まぁ、出来んことはないかな。
○2週目、4週目、成体のラットで調べて2週目が最も顕著に反応性が変化した。
●視覚(4週目)よりも早い時期に感受性期のピークを迎える。領野によって感受性期が異なるという考えをサポートする。


ほなまた